概要
米国最大の辞書出版社Merriam-Websterは12月15日、2025年の「Word of the Year(今年の言葉)」に「slop(スロップ)」を選出したと発表した。この言葉は、AIによって大量生産される低品質なデジタルコンテンツを指す。
「Slop」の定義
Merriam-Websterは「slop」を以下のように定義している:
「人工知能によって通常は大量に生産される、低品質なデジタルコンテンツ」
選出の背景
AIコンテンツの氾濫
2025年は、OpenAIのSoraやGoogle GeminiのVeoなどの動画生成AIが普及し、インターネット上にAI生成コンテンツが急増した年となった。
Merriam-Websterはブログ記事で次のように説明している:
「2025年、AIの脅威についての議論が飛び交う中、slopは恐怖を込めるよりも、むしろ嘲笑するトーンを設定した。slopはすべてに染み込んでいる」
「Slop経済」の台頭
大量のAI生成コンテンツが広告収入目当てで量産される「slop economy(スロップ経済)」という現象も指摘されている。これには以下が含まれる:
- 荒唐無稽な動画: 現実離れした内容のAI生成動画
- 不自然な広告画像: AIが生成した違和感のある商品画像
- 安っぽいプロパガンダ: 政治的目的で量産されるAIコンテンツ
- フェイクニュース: 本物に見えるが虚偽のAI生成記事
AI業界への警鐘
人間の創造性への疑問
Merriam-Websterは選出の理由について、「この言葉はAIに対する小さなメッセージを送っている。人間の創造性を置き換えることに関しては、時として超知性的には見えないこともある」と述べている。
質vs量の議論
AI生成コンテンツの急増は、デジタル空間における「質」と「量」のバランスについての議論を加速させている。技術的には大量のコンテンツ生成が可能になったが、それが必ずしも価値あるコンテンツを意味しないという認識が広まっている。
他の候補語
2025年の候補語には以下も含まれていた:
- Vibe coding: AIを使った「感覚的な」プログラミング手法
- AI anxiety: AI技術への社会的不安
- Prompt engineering: AIへの効果的な指示方法
これらの中から「slop」が選ばれたことは、AI生成コンテンツに対する社会的な懸念が最も顕著であったことを示している。
今後の展望
「Slop」が今年の言葉に選ばれたことは、AI技術の進歩と同時に、その使用に対する社会的な批判的視点も成熟してきていることを示唆している。AI企業は技術の進歩だけでなく、生成されるコンテンツの品質管理についても責任を問われる時代に入ったと言える。