AI業界の著作権問題がさらに深刻化しています。MediaNews Group傘下の9つの新聞社が、OpenAIとMicrosoftに対して100億ドル以上の損害賠償を求める著作権侵害訴訟を提起しました。
訴訟の概要
2025年11月26日(水)、9つの地方新聞社がOpenAIとMicrosoftを連邦裁判所に提訴しました。
原告の主張
- OpenAIとMicrosoftがAI学習のために著作権で保護された新聞記事を無断で使用
- 「数十万件」の著作権作品がコピーされた
- 大規模な著作権侵害にあたる
請求額
- 100億ドル以上(約1.5兆円)の損害賠償を請求
OpenAIに対する61件目の訴訟
今回の訴訟は、OpenAIが直面する著作権訴訟の長いリストに新たに加わるものです。
訴訟件数の状況
| 対象 | 件数 |
|---|---|
| AI企業全体(米国内) | 61件 |
| OpenAI | 約18件(世界最多) |
| Microsoft | 複数件 |
OpenAIは他のどのAI企業よりも圧倒的に多くの著作権訴訟に直面しています。
先週の重要な展開
今回の訴訟に先立ち、OpenAIにとって不利な展開がありました。
弁護士-依頼者特権の喪失
ニューヨークの裁判所は、OpenAIが2022年に削除した「Books1」「Books2」データセットに関する社内弁護士とのコミュニケーションを開示するよう命じました。
これらのデータセットは、オンライン海賊版ライブラリ「LibGen」から取得した書籍を含んでいたとされています。裁判所がLibGenの閉鎖を2度命じていることを考えると、この問題は深刻です。
他の主要訴訟
OpenAIは複数の著作権訴訟に直面しています:
メディア関連
- ニューヨーク・タイムズ: 最も注目される訴訟の一つ
- その他の新聞社: 複数の地方紙が参加
- カナダ: カナダの出版社による訴訟も進行中
クリエイター関連
- 著名作家: 複数の著者が著作権侵害を主張
- Cameo: 商標侵害訴訟(Soraの「cameo」機能について)
その他
- Elon Musk: OpenAIが非営利の使命を裏切ったと主張
- Adam Raine訴訟: 16歳の少年の自殺に関する訴訟
AI業界全体への影響
著作権問題の構造的課題
AI企業は大量のテキストデータでモデルを学習させる必要がありますが、そのデータの多くは著作権で保護されています。この根本的な矛盾がAI業界全体を揺るがしています。
「フェアユース」の限界
多くのAI企業は「フェアユース」を主張していますが、裁判所がこの主張を認めるかどうかは不透明です。
ライセンスモデルへの移行
Warner MusicとSunoの和解のように、一部の企業はライセンス契約を通じて問題を解決しようとしています。ニュース業界でも同様のアプローチが求められる可能性があります。
OpenAIの対応
OpenAIは一貫して、AIモデルの学習はフェアユースに該当すると主張しています。しかし、訴訟の増加と最近の法廷での敗北は、この戦略に疑問を投げかけています。
Sam Altman CEOは、クリエイターへの報酬について前向きな姿勢を示していますが、具体的な解決策はまだ見えていません。
まとめ
9社の新聞社による訴訟は、AI業界の著作権問題の深刻さを改めて示しています:
- 訴訟の増加: OpenAIだけで約18件、AI企業全体で61件
- 巨額の請求: 100億ドル以上の損害賠償
- 構造的問題: AIの学習データと著作権の根本的な矛盾
AI技術の発展とクリエイターの権利保護の両立は、業界全体が解決すべき最重要課題となっています。